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素材・プラチナについて

ここではプラチナについて取り上げます。
ジュエリーをオーダーするとき、最初に決めるのは地金(土台になる金属の種類)だと思います。
上手に選択していただくために、各種貴金属、それぞれの性質をご説明します。

 

素材としての価値

 

プラチナというと、「金」「銀」「銅」の上をいく、特上のランクを意味する言葉ではありますが、それはなぜなのでしょうか。
単に相場価格が金より高いからというだけのものではないようです。

プラチナの発見は紀元前でしたが、加工が難しかったためか何の価値もない金属として廃棄されていた時代もありました。
なぜ加工が難しかったかというと、融点(個体から液体に変化する温度)が非常に高いからです。
金が約1000℃、銀が約960℃なのに対して、プラチナは1769℃。
古代の人間にとっては、溶かして固めることができないため有効活用ができず、使い物にならないと考えられても仕方がなかったことでしょう。

現代では、その溶解温度の高さ(簡単には溶解しないということ)、錆びにくいこと、特有の触媒作用などでほかには代えがたい有用な金属として、工業用としての利用価値が高まっています。
加えて、産出量の少なさもその価値をさらに高めており、過去から現代までの総産出量はたった4,000トンしかありません。
個体にすると1辺が6メートルの立方体です。
こんなにも産出量が少ない希少な金属ですから、1グラム当たりの金額が高くても仕方がないのかもしれません。

見た目の印象

 

プラチナは化学的には白金属類とされていて、6種類からなる白い金属のグループの一つです。
この6種類の金属は似たような性質を持ちますが、その特徴の一つは酸化しにくくいつまでも美しい白さを保ち続けるという点です。

ジュエリーで使う白い金属は、他にはホワイトゴールドがありますが、銀製品は酸化による黒ずみが生じるため定期的なお手入れが必要になること、ホワイトゴールドはそれ自体は白と言い切れない黄白色だということで、両方ともにいつまでも美しい白色を維持させるためにはロジウムメッキを施す必要があります。
その点プラチナ製品は、特別な仕上げ加工をしなくても抜群の白さをそのままの状態で維持することができる、唯一の素材と言えます。

加工上の特性

 

メッキ加工をしなくてよい

上記のように、素のままで美しい仕上がりになるため、メッキ仕上げの必要がありません。
そのため、最終仕上げでメッキ加工を通すことのできない石を使いたいジュエリーには、プラチナでの加工が都合が良いのです。
例えば、ターコイズ、エメラルド、オパールなどです。

細かい細工がしやすい

プラチナの特性の一つに、粘りの強さがあります。
簡単に言うと、伸びがよいということ。
ジュエリーの金属加工は、たたいて伸ばしたり、ヤットコで曲げたりする作業が頻繁に出てくるのですが、硬くなった金属は場合によってはポキンと折れたりヒビが入ったりします。
そうならないための方法もあるのですが、プラチナは素材自体の粘りの良さがあるために、このような作業がたいへん楽にできます。
また、この特性を生かして、より細かく繊細な細工が可能となります。
歴史を紐解けば、19世紀に入ってから、メレダイヤを繊細にちりばめて装飾的に加工したジュエリーが多く登場するもの、プラチナの普及のおかげと言えます。

加工には酸素バーナーが必要

プラチナのジュエリーでの使用はいいことずくめのようですが、実際には多少の困難があります。
それは、プラチナ加工において必須の機材があるということです。
溶解温度がほかの金属に比べて高いので、より高温を出せる酸素バーナーを必要とします。
そして鋳物を作るときも同様に、より高温での作業がをするための特別な装置がなくてはなりません。

使用上の特性

 

製品を使用するときにはどのような特徴があるでしょうか?

重い

プラチナは比重が高く、同じ体積で比べたら、金の約1.5倍、銀の約2倍の重さがあります。
要するに、まったく同じデザインで同じサイズの指輪をそれぞれの金属で作った場合、
銀では6gだったとしたら
金は9g、
プラチナは12gになるということです。

高価

上記の指輪の例で地金代を計算してみます。

銀の指輪が6g
まったく同じ指輪をプラチナで作ったら約12gになります。
お値段は・・・(時価の変動があるので、下記金額は参考程度とお考えください。)

銀が約100円/1gとします。
プラチナが4000円/1gとしたら
上記の指輪は

銀で作れば600円
プラチナでは48000円
という計算結果により、プラチナ製品は銀製品の約80倍の地金代がかかるのです。

デリケート

プラチナは比重が高いため、ボリュームのあるジュエリーにすると着用において重さの負担を感じることがあります。
また、できるだけユーザーにとってお求めやすい金額にしようとする傾向もあり、なるべく少ない材料で作ろうとします。
結果としてプラチナ素材のジュエリーは繊細な製品が多いものとなっています。
ですが、どんなに硬くしっかりした金属の特徴があったとしても、薄く細く軽く作られた繊細な品物は、とってもデリケートです。
うっかり落としてしまうと破損することもあるし、プラチナの指輪をして重たいバッグを持ったりするとそれだけでも変形の原因になるので、その日一日の行動を予想して着用を考えたいものです。

もし、普段使いとして年中付けていたいとお考えでしたら、磨きなおしを含め、お直し可能なシンプルなデザインで、石はダイヤのように硬くて丈夫でお手入れしやすいものを選び、留め方も外れにくい、引っ掛かりのない覆輪留めなどを選ぶと良いと思います。

そう考えると、結婚指輪がプラチナ台にごく小さなダイヤがついている程度のデザインが主流であるという理由がわかる気がしますね。

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