ジュエリーメイキング

指輪のサイズを変える方法

お手持ちの指輪のサイズが合わなくて、サイズ変更を頼みたいな、と思ったことはありませんか?
例えばご親戚や親御様から譲り受けたジュエリー、大事な方からの突然のプレゼント、体調による手指のサイズの変化など、すでにある指輪が何らかの事情でサイズが合わずに着用することができないといったことがあるかもしれません。
行きつけのジュエリーショップがあれば何の問題もありませんが、もしなじみのお店がない、ジュエリーショップには入りにくいなどの不安があるのでしたら、実際の作業を知っておけば安心してショップに足を運べるかもしれませんね。
ここでは、工房における基本のサイズ変更の方法を実際の手順を追ってご説明いたします。ご参考にしてみてください。

 
リングのサイズ直し

 

手順1◆リングについている石を外す
 
外せる石を一つ一つ丁寧に外していきます。
爪留めの石は比較的簡単に外せますが、覆輪止めなど、きれいに外すことができない留め方があります。
外さないでサイズ変更する方法もありますが、パヴェやテーパー、ミステリーセッティングなどの指輪など、サイズ直しそのものができないリングもあります。
品物の大元のメーカーへお持ち込みをするとほとんどの場合はサイズ変更に応じてくれるようですが、実際には「変更」ではなくて「作り直し」をすることもあります。
 
手順2◆サイズを測る
 
現在のサイズを手持ちのサイズ棒で正確に測ります。
持ち込まれた段階ですでに指輪がゆがんでいて正確なサイズの計測ができていない場合もありますので、ここでもう一度確認します。
ゆがみを直したり、少したたいて修正するだけで解決できることもあるのです。
 
サイズダウンの場合
 
希望するサイズと現在のサイズの差分をリングの上に直接しるしを付けます。
その方法はケガキと言って、先端を針のようにとがらせた道具を使って細い線を引いて印をつけるのです。
 
サイズアップの場合
 
希望するサイズと現在のサイズの差分を新たに足してやる必要があります。
リング本体と同じ金種の地金を用意し、指輪の腹側と同じ厚みにして、必要分をきっちりと切っておきます。
1号のアップダウンで約1ミリの地金の増減になります。
 
手順3◆切る
 
サイズダウンにしてもアップにしても、のこぎりで切る必要があります。
切る場所は腹側中央の、最も幅や厚みが細くなっているところです。
ほとんどのリングは、後からサイズを変更するという可能性を考えて、腹側中央に刻印は押しませんが、もし切ろうとしているところに刻印があれば、そこは避けます。
サイズダウンするときは、短くしたい分の地金を切り落とすので2カットになります。
サイズアップするときは、1カットのみです。
 
手順4◆ロー付け
 
サイズダウンの場合は、切り口をグッと寄せて、開けた隙間を閉じてロー付けします。
サイズアップの場合は、のこぎりで切った切り口に、先に切っておいた増量分の地金をキュッと挟み込みます。
挟み込んだ地金が、手を放しても落ちないように、広く開けすぎないことが肝心です。
そしてこちらもロー付けします。
ロー付けとは、ローと言われる金属片を接着剤代わりにして地金同士を溶着することです。
溶着ですから、バーナーで高温をかけてローだけを溶かすのです。
溶けたローは金属と金属の間に毛細管現象として入り込み、冷えて固まってくっつきます。
プラチナにはプラチナの、金には金の、シルバーにはシルバーのローがあります。
ローには、低い温度で溶けるものから、高温をかけないと溶けないものまで融点ごとにいくつかの種類があり、状況によって使い分けます。
また、形状も、板状、針金状、液体状のものなどがあります。

今回作業をご説明している品物は、すでに完成された指輪ですから、表面には細かな細工が施されていることもあります。
昔ながらの方法で作られていれば、細かなパーツはそれぞれがロー付けされてできているはずです。
すると、ここでサイズ変更のために今一度、火をかけることで、先に加工で使われているローが溶けて、最悪の場合、指輪が空中分解する可能性もあります。
なので、既成の品物を修理するのは大変難しく、気を使う作業となります。

ロー付けが終わった品物は、火を通したために酸化で黒ずんでいます。
酸化膜を除去するために数分間、希硫酸溶液に着けます。
 
手順5◆切り口を整える
 
ロー付けして輪につながったリングの切り口を、それがなかったかのようにきれいに整えます。
はみ出した分があればきれいに削り落とします。
全体の形が真円になるように指輪用の芯金に入れてサイズを確認しながら形を整えます。
 
手順6◆石を付け直す
 
外した石をもとの通りに付け直します。
 
手順7◆磨く
 
最後にバフ掛けをします。
バフ掛けとは、バッファーという高速回転研磨機を使って布やフェルトで金属を磨いて仕上げる作業です。
ここできれいに艶出しをして最終仕上げをします。
 
そのほかの方法
 
上記の方法は基本であり、一般的にはもっと簡単で安全性の高い方法で行われることが多いです。
例えば、
・内側から圧力をかけて広げる
・レーザーで切断、溶着をする・・・・などがありますが、
他にも職人ならではの裏技がいくつもあります。
 
サイズ直しは簡単なようでいて、実は奥が深い作業の一つです。
 
 

いかかでしたでしょうか。
もし、サイズを変えたいのだけれどなんとなく不安でショップに足が向かない、という方がいらっしゃいましたら、なにがしかの参考になるかもしれません。
当アトリエでは、オーダーメイドでご注文されたリングのサイズご変更は、商品ご到着から1週間以内であれば無料でさせていただきます。
商品の材質、石、デザインによって、最も適切と思われる方法を選んでお直しいたします。
ご安心してお任せください。

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