ここでは誕生石にちなんで、ダイヤモンドの産地についてご説明します。
古代から現代までの、産地の移り変わりに思いをはせてみましょう。
歴史
ダイヤモンドと言えば、古代から18世紀まで、すべてインドで産出されていました。
ヨーロッパでもっとも古いとされる鉱物学の本である、プリニウスの「博物誌」には、エチオピアやキプロスなど、多数の国で産出されているとの記載がありますが、実のところプリニウス本人は本物のダイヤモンドを手にしたことがなく、それらの産地は別の宝石をもってダイヤモンドとしたのではと考えられています。
16世紀にバスコダガマによって喜望峰周りでの航路が発見されるまで、ヨーロッパの人間にとってインドとは、夢の国であり、足を踏み入れることのない遠い国であったのです。
歴史上、名の通った素晴らしいダイヤモンドの数々、「ホープ」、「カリナン」、「アグラ」など、すべてインドで産出されたものです。
そればかりではなく、「シャルルマーニュの護符」のサファイア、「黒太子のルビー(スピネル)」、それらもまたインドで採れた石です。
複雑な経緯を経て、やっとヨーロッパに持ち込まれるに至った、まさに宝だったのです。
インドとの交易が活発になったヨーロッパの各国では、ダイヤモンドを大量に仕入れをするようになっていきましたが、いつしかインドにあるダイヤモンド鉱山は枯渇してしまいました。
18世紀の初頭、ブラジルのミナス・ジェライス州の砂金採集場からダイヤモンドが発見されました。
それ以降、ここの鉱山では大量のダイヤが採掘され、それをきっかけにオランダやベルギーでダイヤモンドを加工する産業が発達していきます。
現在の産出国
現在、ダイヤの産地と言えばどこをイメージするでしょうか?
アフリカだと答える人はきっと多いと思います。
理由は、アフリカでの鉱山の発掘によって、世界的に有名なダイヤモンドシンジケートが出来上がったからではないでしょうか?
知らぬ者のないその名もデビアス社ではありますが、現在はまた様子が違ってきているようです。
デビアスの本拠地であった南アフリカの鉱山は、現在の産出量は世界第5位。
最も産出量の多い国は、ちょっと意外だと思うような国なのです。
1位:ロシア 大粒、かつ良質
2位:ボツワナ ジュエリー用が多く産出
3位:コンゴ 小粒で質はイマイチと言われるが・・。
4位:オーストラリア 総産出量は世界一だが、半分は工業用。ブラウニッシュなカラーダイヤを多く産出
(総採掘量や、工業用、ジュエリー用を区別した時の採掘量などで順位が違ってくるため、順位については諸説あります。)
その他にカナダ、東アフリカ地域など、ダイヤの鉱山はたくさんあります。
日本ではどうか?
気になるところではありますが、日本の地殻の歴史が浅く、ダイヤモンドの生成に必要な要素を満たしている環境ではないのです。
もし希望を持つとするならば、九州地方辺りに、古代、中国と陸でつながっていた時代の票砂鉱床が残っているかもしれないということです。