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ストーリー

絵画の中のジュエリー・真珠の耳飾り

17世紀のオランダの画家・フェルメールの絵画の中でもっとも有名な絵の一つが「真珠の耳飾りの少女」でしょう。
何か思わせぶりに振り向いた少女の表情や、ハッと目を引く色彩など、絵画的な魅力は語りつくせないものがあります。
ここでは画中の耳飾りやその意味合いについて語ってみたいと思います。

 

絵の魅力

この絵の独特な魅力について、いくつかのポイントを挙げてみましょう。

鮮明な青

もともとは「青いターバンの少女」という題名であり、ターバンの色が重要な要素となっています。
この青い色は、宝石のラピスラズリから作られた、大変に発色の良い高価な絵具で描かれています。
色名はウルトラマリンと言いますが、日本の色名で言えば群青色に当たります。
日本画で使われる岩絵の具の群青も同じくラピスラズリを原料としたものです。
こちらもまた発色の良い美しい青です。
薬師寺に奉納された、平山郁夫氏の大東西域壁画では何キロものラピスラズリを原料とした群青色が使用されています。

モデル

かつてこの絵のモデルは、一人娘のマーリアか女中のフリートかと議論されたこともありまた。
所蔵するマウリッツハイス美術館では、これは肖像画ではなく、実在しない人物を描いた作品(トロニー)であると公表しています。
つまりこの絵は、オリエンタルな人物をテーマにした架空の人物画なのです。
目と唇に見られる光や、真珠の照りなどは、白い絵具で点を置くことで表現されていて、現代の漫画やイラストの表現と一致するところがあります。
フェルメール特有の表現方法ですが、この絵に親しみを感じる理由もそのようなところにあるのかもしれません。

小道具

オリエンタルな題材のための小道具として、少女の頭にはターバンが、耳には真珠のイヤリングが描かれています。
衣装は精密な描写がされていませんが、着物のような抜け衿のように見えます。

真珠の意味合い

ダイヤモンドとともに権力者のジュエリーとして珍重されたのが真珠でした。
真珠は富と権力の象徴であり、その産地としてのオリエントもまたあこがれの地でもあったと考えられます。
この絵が描かれた時代のオランダは、大航海時代を経て商人が力を持つようになった17世紀。
かつて王侯貴族のみが手にすることのあったジュエリーも、一部の庶民の手にもわたるようになった、そんな時代でした。

こちらは同じくフェルメールの「少女」。
青いターバンの少女と同じく真珠のイヤリングをしています。
ターバンこそありませんが、ほぼ同じような髪形で同じような構図で描かれています。
この作品も架空の人物画(トロニー)であるといわれ、真珠の耳飾りの少女と対をなす作風ですが、残念ながらこの作品の美術的な評価は低いようです。

 

 

 

 

 

最後に、作者・フェルメールについて

フェルメールは現存する作品が30数点と、作品数の少ない画家です。
居酒屋や画商などを兼業していたために寡作だった上、倉庫の焼失などがあったから。また、死後に作品が散逸されてしまい行方が分からなくなった、更に盗難にあってそのまま戻らないといったものもあります。

現在フェルメール・ブルーと言われる、当時黄金と同等の価値であったラピスラズリを原料とした絵具をふんだんに使ったことから、画業以外の生業によって一時は大変裕福であったといわれています。
ですが後年、パトロンの死、戦争による不況、借金など、不遇に見舞われ40代の若さでこの世を去ります。
その死因さえ詳細が残されていません。

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