5月の誕生石はいくつかありますが、ここではエメラルドについて解説します。
・エメラルドの鉱物的な特徴とは?
・エメラルドの産地は?
・エメラルドを選ぶ時の注意事項は?
・エメラルドのお手入れ方法は?
など、エメラルドジュエリーをお持ちになる上で気になることをピックアップしてみました。
ジュエリーのオーダーメイドの際にお役に立てる内容ですので、ぜひご参考になさってみてください。
エメラルドの鉱物的特徴
エメラルドの鉱物学的な名称はベリル(beril)となります。
和名では緑柱石です。
緑柱石というだけあって、この石の結晶は6角形の柱状(もしくは板状)に成長します。
ベリルは緑色のものがすべてではありません。ほかに赤や黄色、オレンジ色など各色があります。
実をいうと、ベリルの中でも緑色をしたものは大変希少、そしてその緑色をしたものだけをエメラルドと呼ぶのです。
水色のものをアクアマリン、ピンクのものをモルガナイト、無色透明なものをゴシュナイトなどと言います。
グリーンベリルという名の石もありますが、やはりエメラルドとは別の存在で、色はやや薄い緑色をしています。
エメラルドにはクロムという成分が入っており、クロムが発色してグリーンとなったベリルだけをエメラルドと言っているのです。
ベリルは火山の噴火により排出されるマグマによって、いくつかの成分(ベリリウム、アルミニウム、ケイ素)が合流することで
結晶が生成されます。
その上でクロムとバナジウムが加わることでエメラルドの緑色が生まれますが、少なくともこの5つの成分は複雑な火山の活動によって一か所に集まります。
数回にわたる火山活動で運び込まれる成分がたまたま出会ったことで生成されるのです。
まさにエメラルドは奇跡的と言える環境に出現する鉱物なのです。
エメラルドの有名な産地
もっとも古い記録ではアフリカのエチオピアで産出されたことがわかっていますが、実は世界5大陸すべてで産出されているのです。
数十年前までは南米のコロンビアが最も有名な産地として知られていました。
特に、ムゾー、コスケス、チボーの3つの鉱山からとれるエメラルドは色が濃く、最も価値の高い品質のものです。
近年は枯渇されつつあるともいわれ採掘量はかなり減っています。
他にはアフリカのザンビア、南米のブラジル産などが有名です。
近年ではエチオピア産が増えているようです。
エメラルド購入時の注意点
色が良く均質、インクルージョンやフラクチャーが少ない、テリや透明度が高い、カットが良い、その上である程度の大きさを持つものが良質なエメラルドです。
けれども「人の性格とエメラルドには傷のないものはない」などという言葉があるように、エメラルドはその組成から、ほぼすべてのものにインクルージョン(内部不純物)やフラクチャー(内部亀裂)が少なからず入り込んでいます。
このフラクチャーにオイルや樹脂などを流し入れて、表面から見たときに傷が目立たないように、そして色が濃くなるようにする処理です。
それを含侵処理と言いますが、これはいわばお化粧のようなもの。
エメラルドを宝石として生かすための下ごしらえと考えてよいと思います。
ほぼすべてのエメラルドには含侵処理が施されているので、もし鑑別書がついているならば、その旨が記載されているはずです。
けれども、時にはまるでオイルに浸されているかのようにめったやたらと含侵処理をされている石があるのでそれは要注意となります。
目安は値段です。あまりにも安いエメラルドは気を付けてください。
また、エメラルドほど産地にこだわる宝石はありません。
販売業者はよく、〇〇産のエメラルドといった言葉を使います。
産地にこだわる場合は、ほとんどの場合、コロンビア産か否かが重要なものと思われますが、実は石そのものから産地を証明することはできません。
石の産地については販売業者の言葉を信じるしか方法はないので、もし、ショップで「〇〇産のエメラルドです。」と言われても、ショップ側が故意に偽っているわけではなかったとしてもどこでどのようにすり替わっているかわかりません。
言葉半分と判断してよいのではないでしょうか。
エメラルドのお手入れで気を付ける点
上記の通り、エメラルドはほとんどの場合、含侵処理が行われています。
材質はオイルや樹脂など。
これらの含侵物が流出したり劣化したりするのを避ける方法でお手入れをしなければいけません。
◆やってはいけないこと
・スチームクリーナー
・超音波洗浄
・直射日光下での保管
◆おすすめ方法
・着けたら毎日外す。
・外したら乾いた柔らかい布で拭く。
・汚れを落とす時はぬるま湯で中性洗剤を溶かして洗い、よくすすぐ。
以上、エメラルドの解説となります。
産地についての状況は日々刻々と変わっていきます。
本文をお読みいただいた時点で必ずしも正確な情報ではない可能性があるということをご了承ください。